ワイン産地として知られるエルシエゴ。こちらのホテルは、そのエルシエゴで1858年にワイナリーとして創業しました。当初はワインミュージアムやレストランを設計する予定でしたが、ホテル・リゾートへの参入が決まったことで、宿泊施設が建設されることとなりました。建築とデザインは現代建築の鬼才と言われるフランク・ゲーリー氏によるもので、曲線を描くチタンプレートと傾いた窓が特徴的です。チタンプレートを淡いピンクやゴールドに発色加工する技術は、現在日本にしかないため、はるばる海を越えて特注で運ばれてきました。ホテルの周辺には葡萄園が広がっており、ワインツアーなども楽しめます。
(Photo : Liège-Guillemins by L'amande)
天井は全面的にガラス張り、そしてドームを支える脚部は白いコンクリートで作られていて、全体の透明感が際立つとともに、近代的な空間が広がっています。スペインの建築家サンティアゴ・カラトラバが設計し、2008年に完成したこちらの駅は、450メートル×3本と350メートル×2本の計5本のプラットホームを備え、長編成の高速列車の発着に対応しています。国内列車に加え、タリス(EU圏の各国を結ぶ国際高速列車)やICE(ドイツを中心に運行されている国際高速列車)など、国外の欧州鉄道も行き交い、近隣国の主要都市とも結ばれている重要な駅です。
(Photo : 110915 PLOT_VM Housing 07 by cjreddaway)
(Photo : 110915 PLOT_VM Housing 09 by cjreddaway)
トゲがいくつも付いているこちらの建物は、V字型の棟とM字型の棟を横に並べた集合住宅です。V字型の棟には114戸、M字型の棟には95戸が入っており、間取りのバリエーションも豊富です。棟を屈曲させることで棟同士が対面せず、眺望が広がるようにと配慮されています。さらに2棟の建物は、共に北側が南側の2倍の高さになっており、こちらも南側への眺望も広がるように工夫されています。そして、とても印象的な三角形のバルコニー。こちらはバルコニーでの住民同士の交流を目的として設計されました。バルコニーの先端は全て同じ方向ではなく、さまざまな方向を指しています。この一風変わった設計はPLOTによるものです。PLOTとは、ジュリアン・デ・スメド氏とビャルケ・インゲルス氏が2001年に設立した事務所でしたが、2006年に閉鎖が決まった後、現在は各々の新事務所であるJDSとBIGが設立されています。
続いては、リオデジャネイロのニテロイ海岸にある美術館です。高さ16メートル、地上4階建ての館内へと続く赤いスロープを進むと、360度のパノラマの景色が広がっており、対岸のリオの街並みや自然の景色の両方を一度に楽しめます。設計者である建築家のオスカー・ニーマイヤー氏によると、岩からのびる花のように「地上から継続し、成長して広がる」姿を表現したそうですが、宇宙船のようにも見えるため、市民からは「Disco Voador(空飛ぶ円盤の意味)」とも呼ばれています。この美術館付近では、ニテロイ劇場などのニーマイヤー氏の他の作品を見ることができます。
オハイオ州ニューアーク16号線沿いに見える巨大なバスケット。もちろん本物のバスケットではなく、手編みのバスケットで有名な「ザ・ロンガバーガー・カンパニー」の本社ビルです。7階建てのこちらのビルは目玉商品の『Medium Market Basket 』の形を模して造られ、建物自体が広告の役割も果たし、地元のランドマークにもなっています。ちなみに取っての重さは、なんと150トン!冬季の凍結による損傷を防ぐために暖房機能を備え付けています。家族経営で起業したこちらの会社、創設者のデイヴ・ロンガバーガー氏は、本社だけでなく会社全てのオフィスビルをバスケット型にすることを考えていましたが、ロンガバーガー氏の没後も、娘たちの反対によりバスケット型になることはなかったそうです。
平等を共同のシンボルとして円形を採用しているこちらの建物、一見おしゃれなマンションのようにも見えますが、実は約400人の収容が可能な学生寮です。建物は地上7階建てとなっており、1階は公共スペースとして、カフェ、管理事務所、駐車場などがあります。2階から7階は居住エリアで、各階に12部屋あります。円の外側は学生各個人の部屋、内側はキッチンやランドリーなどシェアできる空間が広がっています。円形といっても上から見ると筒状をしており、中央には緑の多い中庭が作られているので学生同士の交流の場にもなっています。
(Photo : Eden Project by Chilli Head)
エデン・プロジェクトは、植物を収めた世界最大のドーム建築として、地球規模の生物多様性を展示するために作られた植物園です。年間約100万人以上もの来場者が訪れ、イギリスの観光地としても有名です。バイオーム(生物群系)と呼ばれるドームは、3角形と5角形、6角形が組み合わさってできています。最も外側にある6角形の材質は、光や温度変化による劣化が起こりにくいETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン)が用いられています。ETFEは、表面の凹凸の少なさから汚れが付くにくく、透明度が保たれるため、彩光効率の維持とメンテナンスにかかる費用が抑えられます。
(Photo : Bibliotheca Alexandrina by David Stanley)
(Photo : Alexandria, Egyptby by Ben Snooks)
1989年に新図書館の設計コンペが開始されると、52を超える国から524件もの応募があり、当時無名であったスノーヘッタの建築事務所が選ばれました。完成したのは、それから13年後の2002年のことでした。出来上がった図書館は斜めに切り取られた円柱が埋もれているような珍しい形状をしています。特徴的な直径160メートルの円の傾斜のデザインは地中海に沿って昇る第2の太陽の象徴とされています。内部は11階建てで、そのうち4階分は地下に埋まっており、6階分の書庫が所蔵されています。天井が斜めであることで、上から下まで遮るものがなく広々とした空間が広がっています。また、建物の外壁には世界各国の文字が刻まれているので、母国の文字を探してみてはいかがでしょうか。
(Photo : 30 St Mary Axe by Aurelien Guichard)
高さ180メートル、41階建てのスイス再保険会社本社屋。形が似ていることから、ガーキン(ピクルスに使用される小さなキュウリ)の愛称でも親しまれています。その丸みを帯びた形状は、威圧感を与えないながらも、圧倒的な存在感を放ち、映画やミュージックビデオの撮影にも度々使用されています。36からなるスチールの柱が描く螺旋模様に、5,000枚を超えるガラスで覆われた美しい外壁が目を引きます。ガラスの色が異なっている部分は、吹き抜けの部分であることを表しています。この渦巻き状の吹き抜けによって建物の換気を促し、空調にかかる費用を抑えることができます。
最後にご紹介するのは、美しいアーチを描く木造建築が特徴的な礼拝堂です。外壁は周辺の松林に馴染む銅板で覆われています。内部は主に木材で構成され、2メートルの間隔で配置された19本のフレームによって支えられています。入口から玄関ホールへと進み、目の前の扉を開くと礼拝堂が正面に広がっています。左右にはシンプルな横長の椅子が並び、奥には光り輝く祭壇が見えます。このように光って見えるのは、祭壇の周りにのみガラスが使用され、自然の光が入ってくるように設計されているためです。そして、そのガラスには、霜や葉っぱなどの模様と文字が刻まれています。こちらの礼拝堂はアート・チャペルとも呼ばれ、コンサートや芸術作品の展示も行われています。
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